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力強い描線とムラのない色彩で、歌川国芳の浮世絵に倣ったヒネリの利いた構図を見事に描いたSWALLOW NEST 彫飛呂氏による『鬼若丸の鯉退治』。鬼若丸はまだ子供ゆえ、勇壮さの中にもあどけなさを感じさせる表情の機微にも着目されたし。延暦寺に預けられていた稚児であったため習わしとして女物の着物を纏っており、その柄の細かな針仕事がシンプルな構成の中に華を添えている。
鬼若丸は母親の胎内に18ヶ月もおり、生まれ出たときにはすでに髪も歯も生え揃っていたため「鬼のようだ」としてこの名が付けられた。延暦寺で暮らしていたとき、近くの池にいる身の丈八尺もある巨鯉が女子供を食らうと聞いた鬼若丸は池に飛び込み、短刀の一振りでこの鯉を仕留めたと伝えられている。後に余りにも乱暴狼藉が過ぎるので寺を追い出され、武蔵坊弁慶を名乗るようになり、源義経と出会い忠臣となる。
腕には面散らしが彫り込まれる。天狗や翁、般若など五種の面をあしらい、他をはばかることなく堂々と振る舞うことを意味する「天下御免」と「五面」を掛ける、昔ながらの粋な絵柄だ。
なお撮影後、背中へも額が追加されている。その進捗は彫飛呂氏のインスタグラムにて確認してほしい。
The sleeves are decorated with “Men-chirashi”. The five masks (Go-men in Japanese language) such as Tengu, Okina and Hannya are combined the word “Tenka Gomen” which means to behave in a dignified manner without hesitation. This is a chic and old-fashioned design.
After the photo shoot, gaku (background) has been adding to the back. Please check out the progresss on Horihiro’s Instagram.